文献書籍の発行・出版情報

 

「泰國語講座」

はじめて彼と出会ったのは、私がよく訪れる川辺の散歩道でした。彼は泰國よりの留学生で2年前から私の家の対面のマンションに住んでいたそうです。私は毎週水曜日にこの川辺で絵を描いており、たまたま彼が通りかかり私の絵を気に入り彼オリジナルの詩集と交換したことがきっかけでした。私は泰國語を話せず、彼もまた日本語はほとんど話せませんでしたが、身振り手振り、アイコンタクト、イラストでなんとか交流していました。その場で二人は意気投合して飲み屋を2軒はしごして、その勢いで3泊4日の熱海旅行まで成し遂げてしまったのです。その後も何度ともなく誘い誘われ、楽しい時間をすごしました。

翌日、彼は卒業とともに帰国することになりました。私は少し悲しくなりましたが、しかたがありません。帰国の日、私は成田まで見送りに行くことにしました。彼に別れを告げ再会を約束し、彼は去ってゆきました。そのとき私は叫んだのです。泰國語で「さよなら」と、彼はちょっと驚いたようでしたが、すぐにいっぱいの笑顔でになりました。

なぜ日本語もおぼつかない私が泰國語を操れたって?それは昨晩熱海で「泰國語講座」(400円)を読んだからさ。

小冊子:泰國語講座外観
・サイズ:W148mm×H210mm/A5
・頁数:18P
・印刷:モノクロ
・定価:400円
・初版:1999年7月発行
 

「絶影文字世界征服宣言」

国民の文字意識の低下と文字の氾濫した現状を受けて国でも文字書記を規制し書記自体を免許制にすることを決定した。これにより普通文字書記免許制が導入され書記や書字に国家的な免許が必要となる。学校教育現場や個人的な書字はこの規制の限りではないのであるが、企業内での書字や公共機関内や屋外での書記は免許の取得と携帯が必要となる。無免許による書字や免許非携帯時の書記は文字意識の矯正のため隔離施設にて再教育が行われると言う。

この普通文字書記免許は十六歳から取得することができ、取得のための難易度は低めに設定されている。しかしながら普通文字書記免許で書字できる漢字の範囲は常用漢字内のみという制約があり、それ以外の漢字や旧字などを含む文章を書記する為には拡張文字書記免許が必要である。また英語以外の外国文字を書記する際には各国の主催する文字書記免許試験に合格し免許を手に入れなくてはならないのである。

現代日本文字世界は文字資格至上主義といってもいい状態であり、取得文字免許の種類によって職業、結婚など様々な場所で差別的な扱いを受けるといったとらぶるを多発している。国ではこのような文字差別に対して黙認する姿勢を見せており、更に文字差別が拡大すると思われる。

その様な現状の中、文字資格を神格化する社会に嫌気を感じた一部の自由文字主義者たちは免許取得を拒否し、法律で規制されている壁面への文字書記をもって抗議活動を行っている。国では更に細かな文字に関する規制の色を強める様子であり、将来的には個人的な文字書記を含め、学校文字教育現場においても等級制を用いることにより学生時点での文字による優劣の分類を行うべく法案の具体案を作成中との事である。国は文字を規制することにより国家による新たなる文字体制を確立しようと画策し、民衆から文字の自由を奪い去ることにより文字による支配価値を高め、民衆化した文字世界を国家主導による体制を確立しようとしているのである。

このような日本文字世界の危機の中でも一部の自由文字主義者を除いては表立った反対や抗議の活動は見られず、改めて文字意識の著しい低下が浮き彫りとなった。文字書記や書字は近代国家における民衆の不可侵の権利であり、その権利への無関心はそのまま自分自身への無関心へとつながるであろう。

冊子:絶影文字世界征服宣言外観
・サイズ:W148mm×H210mm/A5
・頁数:88P
・印刷:モノクロ
・定価:1,000円
・初版:2000年1月発行
 

「鼎都再開発計画叢書」

都市はあらゆる人工的なものに溢れ、人々は絶え間なく往来し、情報は空間越えて飛び交い、都市自体もめまぐるしく変化を繰り返しています。今まであった建物が囲われ、気が付いたときには更地になり、ある日突然全く違う建物が存在しているということは日常茶飯事です。不思議なことに私たちは大した違和感も感じず、まるで昔からあったと錯覚してしまうこともあります。都市はあらゆる物を飲み込んで肥大してゆく生き物のようです。

この冊子の写真は都市の断片を集め再構成されたものです。違和感や嫌悪感、虚無感を感じることがあるかもしれません。しかし、あらゆる建物の要素が並び重なり合う私たちの都市そのものと言えるのではないでしょうか。感じた違和感は私たちが住む都市そのものに対するものなのではないでしょうか?

冊子:鼎都再開発計画叢書外観
・サイズ:W148mm×H210mm/A5
・頁数:44P
・印刷:モノクロ
・定価:500円
・初版:2002年1月発行
 

「絶影語録」

その書体で組まれた文章は、全然美しくないかもしれない。その書体で組まれた文章は、全然読めないかもしれない。

PC等のデジタル入力機器が新たな筆記具として機能しつつある現在。リスト内の数種類の中から選択される書体は確かに機能的で読みやすく、大多数にとってその限られた選択は大した問題ではないかもしれない。しかし、言葉を書き記すことは単純に情報を伝えるだけではないと思います。手書き文字に含まれる文字としての機能を除いた非合理的で無駄な情報にこそ、文書に含まれる感情を補足するものがあるのではないでしょうか。デジタル入力時代にはデジタル入力時代の新たな自分自身の筆記文字(書体)が必要なのではないでしょうか。そんな尖兵としてのZETUEI FONTSの書体を一覧できる冊子です。

冊子:鼎國語録外観
・サイズ:W128mm×H182mm/B6
・頁数:64P
・印刷:モノクロ
・定価:400円
・初版:2003年発行
・漫画:Pavro
・特徴:シャツの胸ポケットにギリギリ収まるB6サイズです。
 

無料誌「鼎國画報」休刊中

絶影機関誌鼎國画報です。毎号閃きを(思いつき)大切にした特集内容で発刊の存在意義が問われています。読めないものを甘んじて受け止めるのか。読めないものを拒絶するのか。読めないものを無視するのか。読めないものを読もうとするのか。普通に読むのか。対応する姿勢はひとつではないのです。とりあえず広告も募集中です。

無料誌:鼎國画報外観
・サイズ:W364mm×H257mm/B4二つ折り
・頁数:4P
・印刷:両面1C
・定価:無料
 

機関紙「鼎國解字画報」

新聞だけあってやはり、通勤の車内でがばっと開いて読んでいただきたくそれなりのサイズにしてみました。これなら左右の人に迷惑をかけつつ読んだり、お弁当を包むのにつかったり、花見の席でのマジックで牛乳を流し込んだり、ペンキを塗るとき下に敷いたり、そのまま廃品回収に紛れこませたりと、使用方法は無限に考え付きますね。

素敵な使用方法を思いついた方には必要分贈呈しますので遠慮なく申し出てください(残部希少・要結果レポート)。とりあえず広告も募集中です。

機関紙:鼎國解字画報
[+]拡大
・サイズ:W406mm×H546mm
・頁数:4P
・印刷:両面1C
・定価:無料

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