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絶影文字世界制服宣言

[2000]

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「絶影文字世界制服宣言」

[発行情報]
・サイズ:W148mm×H210mm/A5
・頁数:88P
・印刷:モノクロ
・定価:1,000円
・初版:2000年1月発行


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国民の文字意識の低下と文字の氾濫した現状を受けて国でも文字書記を規制し書記自体を免許制にすることを決定した。これにより普通文字書記免許制が導入され書記や書字に国家的な免許が必要となる。学校教育現場や個人的な書字はこの規制の限りではないのであるが、企業内での書字や公共機関内や屋外での書記は免許の取得と携帯が必要となる。無免許による書字や免許非携帯時の書記は文字意識の矯正のため隔離施設にて再教育が行われると言う。

この普通文字書記免許は十六歳から取得することができ、取得のための難易度は低めに設定されている。しかしながら普通文字書記免許で書字できる漢字の範囲は常用漢字内のみという制約があり、それ以外の漢字や旧字などを含む文章を書記する為には拡張文字書記免許が必要である。また英語以外の外国文字を書記する際には各国の主催する文字書記免許試験に合格し免許を手に入れなくてはならないのである。

現代日本文字世界は文字資格至上主義といってもいい状態であり、取得文字免許の種類によって職業、結婚など様々な場所で差別的な扱いを受けるといったとらぶるを多発している。国ではこのような文字差別に対して黙認する姿勢を見せており、更に文字差別が拡大すると思われる。

その様な現状の中、文字資格を神格化する社会に嫌気を感じた一部の自由文字主義者たちは免許取得を拒否し、法律で規制されている壁面への文字書記をもって抗議活動を行っている。国では更に細かな文字に関する規制の色を強める様子であり、将来的には個人的な文字書記を含め、学校文字教育現場においても等級制を用いることにより学生時点での文字による優劣の分類を行うべく法案の具体案を作成中との事である。国は文字を規制することにより国家による新たなる文字体制を確立しようと画策し、民衆から文字の自由を奪い去ることにより文字による支配価値を高め、民衆化した文字世界を国家主導による体制を確立しようとしているのである。

このような日本文字世界の危機の中でも一部の自由文字主義者を除いては表立った反対や抗議の活動は見られず、改めて文字意識の著しい低下が浮き彫りとなった。文字書記や書字は近代国家における民衆の不可侵の権利であり、その権利への無関心はそのまま自分自身への無関心へとつながるであろう。

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